愛され任務発令中！～強引副社長と溺甘オフィス～
革靴を鳴らしながらあっという間に副社長に追いついた。

けれど副社長は足を止めることなく、エレベーターホールへと向かっていく。

「どういうことだ？　今日は社内コンペがあると伝えておいたよな？」

「はい、しっかりと」

「じゃあなぜクライアントと会う約束になっているんだ！」

サラリと答えた副社長に怒りを露わにする代表。

気になってしまい、気づかれないよう人混みに紛れながらふたりの後を追った。


社員証をかざして通行口を抜け、列ができているエレベーターホールに辿り着くとふたりとも足を止めた。

すると副社長は代表を見据えた。


「答えは簡単ですよ。社内コンペよりも大口のクライアントと会う方が優先するべきと判断したまでです。第一父さんも出席するなら、僕は必要ないかと思いますが？」


代表相手に淡々と自分の意見を述べていく副社長に、聞いているこっちヒヤヒヤしてしまう。

だって現に代表、怒りで身体がわなわなと震えちゃっているし。


同じビル内の他の社員もふたりの様子を見守っていると、代表は一度自分を落ち着かせるように大きく深呼吸をした。
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