愛され任務発令中!~強引副社長と溺甘オフィス~
溜息交じりに頬杖をついて話す紗枝に、笑ってしまった。

「じゃあ今度は私が紗枝の力になるからね。遠慮なく頼ってね」

するとなぜか紗枝は渋い顔を見せた。

「えぇ~……菜穂美に協力されたら、全部うまくいかなくなりそうなんですけど」

「ちょっと!?」


すかさず突っ込むと、紗枝は「冗談だよ」って言いながら笑った。最後に「その時は思いっきり頼るからね」と言って。



「あれ、あれれ? ドアノブどこ?」


この日の午後。使用した社内資料を保管庫に戻しにきたものの……。一度で済ませたくて両手いっぱいに持ってきたのが運の尽き。

ドアノブの位置が資料で見えなくて、手探りで探すものの掴めない。


思った以上に資料は重くてそろそろ腕が痺れてきて限界なのに。どうしたものかと四苦八苦していると、「どうぞ」の声と共に保管庫のドアが開いた。
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