愛され任務発令中!~強引副社長と溺甘オフィス~
「そこは言ってよ! だって最高のシチュエーションじゃない! 完璧副社長とドジッ子なんて……! 考えただけでいい!!」

そうだった、紗枝はこういう人だったんだった。アニメ大好き。さらには恋愛ゲームも大好きなんだよね。


「私がハマっているゲームでもさ、同じようなシチュエーションのものがあって。これがなかなか面白いのよ。ドジっ子秘書に振り回されながらも、相手は惹かれていっちゃうの。最高だと思わない?」

「思わないから!! っていうかドジして振り回されて好きになるとか、ありえなくない?」

吐き捨てるように言うと、紗枝は目くじらを立てて反論してきた。


「ありえるのがゲームなんでしょうが! あんたは乙女の夢をわかっていない!! 最高に胸キュンものじゃない? ドジやっても「仕方ないな」なんてちょっと呆れ顔でフォローしてくれるのよ? さり気なく助けてくれたりするし、本当にカッコイイんだから。前から言っているけど、菜穂美も一回やってみなさいよ!! ……二次元に逃げるのもアリだと思うしさ」


最後にポツリと呟かれた言葉に、どうしても苦い記憶が頭をよぎってしまう。
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