ずるい男 〜駆け引きは甘い罠〜
「…どれだけお前の中で俺は鬼畜な男なんだ⁈いいか…よく聞けよ」
悲しい表情を浮かべた後、美姫の両肩を掴んで大きく息を吐いた。
「今まで避妊せずに抱いた女はお前だけだ。避妊する事も忘れ夢中になった女もお前しかいない。同僚の女に手を出すバカな真似をした理由も、お前だからだ。お前じゃなきゃ、いくら俺でも手を出したりしない。お前と別れてから他の女なんて抱いていない」
美姫の涙が再び溢れる。
「まだ、聞きたいか?」
首を振りいつまでも止まらない涙を流す美姫に、苦笑した峯岸の指先が拭っていく。
「泣き止んでくれないと、キスできない」
「…どうして?」
この展開から、どうしてキスできないになるのかわからないから出た言葉だったのに、峯岸には通じていないらしい。
「美姫だけを見ない俺はいらないんだろう⁈愛の告白に聞こえた。だから、俺には美姫だけだって教えたいんだけど…ダメか?」
「…いつも自分勝手にキスしてきたくせに、聞いてくるなんて峯岸さんらしくない」
「そうさせてるのは美姫だよ。なぁ、俺の子どもを産みたいと思うくせに、俺と3人で生活したいって言ってくれないのは、まだ、信じられないからか?」