ずるい男 〜駆け引きは甘い罠〜

「まさか、おろせって言う薄情な男だと思ってないよな」


峯岸の疑いの目に、思っていた…とは言えないので、首を左右に振る事で男からの視線から逃れようと頭が動いていた。


「まぁ、そう思われても仕方ない」


美姫の必死の否定も峯岸にはバレていたようで、頭上にポンと手のひらが乗せ、くしゃくしゃと頭を撫で苦笑いをしながら美姫を見つめている。


「…ありがとう。絶対、迷惑かけないから…認知してって言わないし、もし、峯岸さんがこの子に会いたいって思うなら会えばいいよ」


産む事を認めてくれた峯岸へ、美姫なりの感謝の言葉だったのに、峯岸の表情が段々と不機嫌になり片眉が上がった。


「ちょっと待て…お前の頭の中には、その子と俺と3人で生活するって考えはないのか?」


「…私達の関係ってなんだった?愛してもいない、スリルや欲望で繋がっていただけだよ。背徳感のない生活に峯岸さんは満足できるの⁈…きっと、できないよ。一緒に生活しても、そのうち他の人に興味を持って
また、堕ちるまでのゲームが始まるんだよ。そんなの側で見たくない。峯岸さんにとって私との事もゲームで、私が妊娠したからそんな事言ってくれてるんだろうけど、他の人が妊娠したら、その人にも同じ事を言うの?私だけの峯岸さんじゃないなら、いらない」
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