ずるい男 〜駆け引きは甘い罠〜

「他の男に気安く触らせるな」


「だって…」


不機嫌そうに片眉を上げ、美姫の言い訳に目を細めた蒼斗に、何も言えなくなり途中で口を閉じていた。


そんな怒ること⁈


今朝までは、その不機嫌な顔も大好きだと思ったのに…


美姫は、蒼斗の理不尽な言葉に唇を少し尖らせ視線を背けた。


「チッ…これからは気をつけろ」


「…」


「おい…」


「わかった」


蒼斗を睨むように見つめ返事をする美姫。


大きなため息を吐いた蒼斗は頭をかくと、小さなビロード箱を出してきて、中からリングを掴みを美姫の左手を掴んだ。


「美姫…お前とお腹の子を幸せにする。信じられるなら俺との未来を考えてほしい」


2人を見ていた女性達が騒いでいる中、美姫はなぜだか冷静だった。


「…プロポーズ?」


「あぁ、ここにいるみんなが証人だ。返事は?」


「断っていいの?」


「イエスしか受け付けない」


美姫の返事を予想していたようで、苦笑いする男。


「愛してるって言ってくれないの?」


「指輪をつけてくれたら…」


茶化す蒼斗に美姫も微笑み、周りが見ている前で左手の薬指に指輪がはまった。


「愛してる」


と、耳元で囁く男に美姫も


「愛してるわ」


ずるい男の甘い罠に堕ちた瞬間だった。


〜END〜
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