ずるい男 〜駆け引きは甘い罠〜
会社前で待つ蒼斗と浜田に、女性達は好奇の眼で騒いでいて、その光景にイラッと来ると同時に、その男は私の男だと独占欲が湧くのは、美姫だけじゃなかった。
「なに、あれ⁈」
隣で憤慨する早希に気がついた浜田は、美姫が大好きだった優しい笑みを浮かべ早希に手を振った。
それだけで、早希のご機嫌は治ってしまう。
浜田は、美姫達の側まで来て頬の緩んでいる早希の肩を抱きながら美姫を見て微笑んだ。
「おつかれ…うまくいってよかったな」
蒼斗に一度視線を向け美姫の頭を撫でる浜田に、美姫は早希をちらっと見てしまう。
早希は浜田と視線を合わせ、美姫に微笑む。
「浜田さんのおかげです。ありがとうございます」
「幸せになれよ」
「はい」
「じゃあ、また、2人の結婚式で…」
「美姫、ちょくちょく連絡するわ」
浜田と早希が順番に美姫の肩をポンと叩き、手を振り一緒に帰って行った。
その背に、思いもしなかった結婚の二文字に蒼斗を見つめた。
彼の頭にないだろうなと…
蒼斗にキャッキャと騒ぎ近寄ろうとする女性達の横を男は素通りして美姫の前にやって来ると、浜田が撫でた頭を蒼斗の手が同じように撫でている。