ずるい男 〜駆け引きは甘い罠〜
そう言ったかと思うと、美姫の顎をグイッと上げ唇に触れた峯岸。
驚きで一歩後退る後頭部を逃さないというように押さえ、更に距離を縮め抱きしめてくる。
触れ合うキスじゃ足りないというように唇を何度も喰まれて美姫は、何も考えられなくなり抵抗するのをやめ、自然と男の首に腕を絡めキスを求めていた。
飽きることなく続くキスが物足りなくなってくる。
もっと…
気づけば、もっと深く求めてほしいという欲求しかない。
キスの合間に唇を開き男の名前を呼んでいた。
「…峯岸さん」
余裕のある男は薄く笑い、焦らすように舌で唇をなぞりながらキスをする。
「…はぁっ、んっ…峯岸さん」
それでも、じれったいキスは続く。
少し厚みのある浜田の唇とは違う薄い唇が、美姫の唇を喰む度に感じる甘くじれったい疼きに、我慢できなかった…
こちら側は仕掛けられたキスに夢中になり、じれったいキスだけじゃ物足りなくなっているというのに、余裕のある表情が憎らしかった。
美姫は、自ら峯岸の口の中に舌を入れ男の舌先と絡めたのだ。
そうすれば浜田だって、我を忘れ夢中になってくれた。