ずるい男 〜駆け引きは甘い罠〜
「それで…」
優しく美姫の頭を撫で始める男。
「好きだった人にあんなこと言われて心が動かない訳じゃないの。でも、浜田さんを裏切って罪悪感を持たずに隠れて峯岸さんとつき合うなんて器用なこともできないし、でも、峯岸さんが私を諦めてしまうのもイヤなの…自分でも何言ってるんだろうって思う。勝手だよね」
「そうだなぁ、勝手だ。振ったくせに諦めるなって事だろう⁈俺は、都合のいい男になるつもりはない」
「ごめんなさい。でも背徳感を楽しむかって言われてすぐに、うん、って頷く女だったら、軽く私の事扱うでしょう」
「まぁな…」
「そんなのイヤなの。峯岸さんは私の初恋の人だったから…」
「だったから?」
口籠る美姫の顎を撫でるように掴んだ峯岸に、美姫の体がピクッと動いた。
「だから…軽くみてほしくないの。ゲーム感覚でいる峯岸さんには私の気持ちなんてわからないわ」
「わからないね…男と女が惹かれあっていたら試してみればいいだけだ。浜田に罪悪感を感じるのはそれからでいいんじゃないのか?試してもいないのに、最初からグチャグチャ言うな…美姫…お前の気持ちはわかった。俺がお前を誘惑する悪い男になれば解決する話だ」