ずるい男 〜駆け引きは甘い罠〜
その後、美姫は浜田に守られて店を出た。
そんな2人の後ろ姿を見ながら、峯岸は浜田に嫉妬する。
その女は俺のものだ…
お前から美姫の心も体も全部取り返してやる…
浜田に恨みはないが、出会った順番が悪かったんだと言い訳せずにはいられなかった。
「俺、タクシー止めてくるから美姫を頼む」
浜田は、美姫の為にタクシーを止めに大通りに出ていった。
2人の関係に疑いもしないで2人きりにさせた浜田が悪い。
美姫は妖しい空気から逃げるように浜田を追いかけて歩こうとする。
逃してたまるか…
美姫の手を引き腕の中に抱きしめていた。
「…離して」
期待に満ちた目をしながら、逃げようとする。
「そんな顔で拒絶しても意味ないってわかれよ」
同時に美姫の顎を掴み、ねっとりと唇を喰んで離れても次のキスを待っているが、そう簡単にキスはしてやらない。
「俺とのキス好きなんだろう⁈」
意地悪く図星をついてやると、頬を染め、視線を彷徨わせる美姫。
何も答えなくてもそれだけで答えになった。
大通りに出るまでの数分、どちらからともなく指を絡めて繋ぐと、美姫は頬を緩ませ微笑んでいる。