ここにはいられない



「あれー?今何時?」

いつもは枕元に置いてある携帯が見つからず、慌てながらもノソノソ起きた。

「6時40分」

独り言のつもりだったのに返事があったからびっくりして顔を向けると、キッチンに千隼が立っていた。

「業者さん来るの10時だっけ?まだ寝てても大丈夫だよ」

「ううん、起きる。・・・おはよう」

「おはよう」

普段は一応着替えて身だしなみは整えている。
それが共同生活のマナーだと思うから。

最後の最後にボッサボサ。
産地直送の寝起きを披露してしまった。

「うううう、身体痛い。シャワーくらい浴びなきゃ」

「お湯張ってあるから入ったら?」

「荷造りだって全然してないのに」

「最悪、後で送るから間に合うよ」

「朝ご飯、準備してない」

「カレーなら今温めた」

「甘やかし過ぎだよ」

普通自分の彼女にだってなかなかそこまでしないと思う。

試しに「まずはトイレに行きたい」と言ってみたら、そこは「どうぞ」と言われたけれど。




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