ここにはいられない



薄く目を開けると、常夜灯だけついた電気が見えた。

いつも寝ている部屋の電気とは傘が違う。
あーリビングで寝ちゃったんだな、とぼんやりした頭で理解する。
お風呂も入っていないし、最後の荷造りだってできていない。
朝早起きしてやらなくちゃ。

狭くて堅いのは多分ソファーに寝ているからだ。
右手を動かすと背もたれに当たったので確信する。
うん、確かにソファーだ。

千隼がかけてくれたのだろう。
全体をすっぽり包むようにタオルケットがかけられている。
左腕だけがだらんと下に落ちているけど、持ち上げて戻すことさえ眠くて億劫だった。

状況がわかると安心して、再びまぶたが落ちた。






━━━━━左手がずっとあたたかいのは、なぜなんだろう?


・・・・・・・・・手?







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