今年の夏もキミを想う…。
“テーブルの上にね、懸賞のハガキがあるの。それね、今日までなのよ。それなのに持って出るの忘れちゃって。もし当たったら、炊飯器がもらえちゃうのよ!だからお願い、代わりに出しておいてくれる?”
ため息をひとつこぼして、宮崎はハガキと携帯を手に家を出る。
「炊飯器とか……当たらないだろ」
外に出れば、途端むわっとした熱気に包まれて、宮崎は思わず顔をしかめる。
セミの大合唱も、より鮮明に耳に届いて暑さを倍増させ、また一つため息がこぼれ落ちた。
「帰ったら、もう一個アイス食べよう……」
誰に宣言するでもない、ただ自分を元気づける為にぼそりと呟いて、宮崎は重たい足を一歩踏み出した。