今年の夏もキミを想う…。
「そこまっすぐ突っ切って」
「二個目の角を左ね」
「しばらく行ったら………はい、そこ!そこの坂を下りて」
高知ナビの導くまま、宮崎は言われた通りの道を走る。
時折後ろを振り返れば、姿は見えないが、カラコロと後を追ってくる足音だけは聞こえていた。
「はい、到着!」
坂を下りきった先で、やや勢いがつきすぎた宮崎は、ガードレールに思いっきり腹部を強打してうずくまる。
後ろを走っていた高知は、慣れた様子でスピードを抑えて追突からまぬがれていた。
畑から田んぼからポツポツと点在する民家まで、ぐるりと辺りを見回せるその場所からは、祭りの会場である役場もよく見えた。
周りより若干小高くなったそこはかなり見晴らしもよく、腹部の痛みから立ち直った宮崎は、ガードレールに手をついて立ち上がる。
「誰もいないね。どうやら、まだオレだけの穴場だったようだ」