今年の夏もキミを想う…。
「すいません、高知さん。遅くなってしまって……」
「い、いいんだよ全然!あっ、どうせなら迎えに行けばよかったね。どうせお隣なんだし。気が利かなくってごめんね」
「い、いえ!そんな……」
微かに頬を赤らめて俯きがちに恐縮する柚花と、そんな柚花を優しい眼差しで見つめる高知。
二人の間に流れる和やかな空気に、今がチャンスと、宮崎はそっと家庭科室に入ると、高知から距離を取るように足音を忍ばせる。
「あっちの方で野菜とか、お肉とか準備してるんだ。悪いんだけどゆずちゃん、ちょっと変わってくれるかな」
「あっ、はい……」
高知は後ろ手に隠していた包丁をそっと柚花に手渡すと、こそこそと足音を忍ばせていた宮崎の首にすかさず腕を回す。
「ぐふっ!?」
「オレはちょっと、宮崎クンに大事な話があるんだ」