今年の夏もキミを想う…。
首を締め上げられて苦しげな声を漏らす宮崎を、高知は引きずるようにして廊下に連れ出す。
ドアがしまって視界から柚花の姿が消えた瞬間、腕を離した高知が宮崎に詰め寄った。
「ちょっと宮崎!ゆずちゃんと一緒にいるならそう言ってよ」
「どのタイミングで先輩にそれを伝える暇があったんですか!大体、たまたま外で会ったからここまで一緒だっただけで、完全に偶然の産物です」
チラチラとドアの方を伺いながら小声で話す高知に合わせ、なぜか宮崎も理由はわからないままに声をひそめる。
「これ、凄く大事なことだから宮崎にも言っておくけど!ゆずちゃんの前でのオレは、優しくてスマートなお兄さんって事にしてるんだから。昔からずっとそれでやってきたんだから、そのイメージが崩れるようなことしないでよ!!」
そう言われてみれば、すっかり忘れていたが、昔から柚花の前での高知は少し様子が変だった。
先ほど、柚花の姿を見た途端にころりと突然態度を変えた訳を知った宮崎は、呆れたようにため息をつく。