俺様ドクターに捕獲されました
「人が真剣に悩んでるのに、笑うとかひどい」
「悩むだけ無駄だからやめとけよ」
どういう意味だとニヤついたままの顔を軽く睨むと、テーブルの上に置いてあったお兄ちゃんの携帯が鳴った。
「……っと、さすがに仕事が早いな。悪い、ちょっと電話してくる。お前、顔洗っとけよ。すげぇ、不細工だぞ」
失礼なことを言いながら、携帯を持ったお兄ちゃんが部屋を出て行く。
にしても、不細工ってひどい。そんなにひどいかなと洗面所に向かい鏡を見た私は、あまりにひどい顔に言葉を失った。
車の中で泣き、部屋に来てからも泣き、時間差で泣いたからなのか、ファンデーションは剥げ、頬にはいく筋もの涙の跡が残っている。走ったせいか、髪も乱れていた。
うう、これは不細工と言われても文句は言えない。
ため息をつきながら水で顔を洗うと、少し気分も落ち着いてきた。タオルを借りて顔を拭いていると、玄関から物音がする。
「お兄ちゃん?」
お兄ちゃんが戻ってきたのかと、洗面所から出した顔を、私はすぐに引っ込めた。急いでドアに鍵をかけると、こっちに足音が近づいてくる。
「りい、てめぇ! なに、鍵かけてんだよ。ここ開けろ!」
ドンドンと洗面所のドアを叩かれて、ヒッと小さく悲鳴をあげる。そう叫んだのは、もちろん彼だ。