俺様ドクターに捕獲されました


「朝起きて、お前が隣にいないとゾッとする。だから、これからは起きるときは必ず俺に声かけて。夫婦のルールな」

「うん、わかった」


『夫婦』という響きにはにかみながらうなずくと、彼が眩しそうに目を細めた。


「りいの笑顔、好き。泣いてる顔も好きだけど、やっぱり笑顔が一番だな。あ、でも昨日のりいもかわいかったな。必死に俺にしがみついてきて……」

「なっ! そういうこと言わないで! これも夫婦のルールに……」

「却下。別にいいだろ? かわいいって言ってるんだから。素直に受け止めろよ」

「恥ずかしいの! 」

「恥ずかしがってる顔を見たいんだよ。だから、耐えろ」


出た、俺様発言。ひどいと思いつつも、そんな彼のことが愛おしいと思うのだから仕方がない。


黙り込んだ私を、満足げに笑った彼が抱き寄せた。


「なかなか感慨深いものだな。りいが生まれてから二十八年。思えばりいは、本当に俺の思い通りにならなかった。初めて口にする言葉を『優』にしようと毎日、天野家に通いつめて教え込んでたのに、結局口にしたのは『まんま』だった。かと思えば、花屋になりたいから他の男と結婚するとか言うし、チョコは渡そうとするし、あげく逃げ出すし。再会したときだって、妙に他人行儀な態度とったよな。あれは、地味にショックだった」

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