俺様ドクターに捕獲されました
「じゃ、忙しいなか悪かったね。行くぞ、りい」
凍りついた空気を気にする様子もなく、彼は私の肩を抱いたままナースセンターを出る。
少し歩いたところで、いまだに肩を抱いたままの腕を振り払った。が、振り払えなかった。
それどころか、さらに肩を抱き寄せられて、仕方なくそのまま彼の顔を見上げる。
「ちょっと、優ちゃん。なんであんなこと言うの? 私、すごい睨まれてたんだけど。仕事がやりにくくなるじゃない」
「いいだろ、別に。もう、いい加減面倒くさかったんだよ。俺は、りいだけいればいいし。それに、大丈夫だ。りいが担当する患者はあの病棟にはいない。他の病棟には、あそこまでしつこいのはいないから安心しろ」
なんだ、それ。じゃあ、あの発言は狙ってなわけ?
なんて人だ。人を女除けに使うなんて。そんなもんに使うんじゃなーい! だいたい、大切に扱われたことなんてないわ!
……と、声を大にして叫びたいが、そんなことは言えないチキンな私。
一応、控え目に「女除けに使うなんてひどい」ということは訴えておく。まあ、そんなものを彼が気にするはずもなく、ふんっと鼻で笑われてしまった。
「りいが大切なのは事実だ。それに、お前はそんなに柔じゃない。ま、なにかあったら俺が守ってやるから、安心しろ」