俺様ドクターに捕獲されました
「会えてうれしいよ。これからよろしくね、里衣子ちゃん」
私に伸ばされた手は、ずいぶんむくみが目立っている。おばちゃんの状態の悪さを悟り、気持ちが落ち込んでしまう。
ふくよかだった顔は、見る影もなく変わってしまった。でも、ひまわりみたいに明るいその笑顔は変わらない。
「うん、よろしくね。おばちゃん」
その手を握り返して、私はおばちゃんに精一杯の笑顔を向けた。
* * *
暗い気持ちを抱えながら病室を出ると、彼が私の手を掴んだ。顔をあげると、心配そうな顔をした彼が私の顔を覗き込んでくる。
「りい、大丈夫か?」
「うん……ショックだったけど、大丈夫」
なぜ、事前に言ってくれなかったのかとも思うが、聞いていたとしてもきっとショックは受けただろう。
昔、お世話になった人の弱りきった姿を見るのは、なかなかにダメージが大きい。
かわいがってもらった人だから、恩返しの意味も込めて私にできることならなんでもしてあげたい。
だけど、私にいったいなにができるのだろう。
「そうか……。りい、あのさ……」
「あ、宇佐美先生!」
なにか言いかけた彼を、明るい声が遮った。彼に隠れていて私の存在に気づいていなかったのだろう。
彼が振り返ると、私に気がついたその声の主が軽く目を見張った。