俺様ドクターに捕獲されました


「……っと。お取り込み中? もしかして、噂の彼女?」


彼と同じ、スクラブに白衣を羽織った男の人が好奇心に満ちた目を私に向けてくる。こういうの、今日何度目だろう。


「手繋いでるしー。いやぁ、仲睦まじいですねぇ」


そう言われて、初めて手を繋ぎっぱなしだったことに気がつく。慌ててその手を離そうとするが、逆に引き寄せられて抱きしめられてしまった。


「うるせぇ、見んな」


その人から隠すように私を抱きしめた彼が、しっしと虫を追い払うような仕草をする。


「えー、ケチ。アロマセラピストさんなんでしょ? 俺もお願いしたい患者さんがいるのに、独り占めはずるくない?」


どうしていいかわからず、彼の腕の中で固まっている私をその人はひょいっと覗き込んでニコッと微笑んだ。


かっこいいというよりは、犬みたいなかわいらしい顔立ちをした人だ。笑うと余計にその印象が強くなる。ちょっとうちの兄に雰囲気が似ている。


「へえ、かわいいね。優にはもったいないんじゃない? こんな暴君男やめて、俺にしない?」


うっ……チャ、チャラい。暴君も嫌だけど、チャラ男も無理です。逃げ腰になる私のことを、彼は再びその人の視界から遠ざけた。

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