俺様ドクターに捕獲されました
かわいい顔に似合わない辛辣な物言いに苦笑いしながら、たしかに怖い顔だったなと先ほどの出来事を心の中で反芻する。
「あー……仕事に来てるのにあれはない。目障りだと言われました」
「うわ。それ、優に言えって感じだよね。天野さん、完全に被害者じゃん」
ケラケラと笑う菅谷先生の言葉に、まったくだとコクコクとうなずく。
「あの人、俺たちが働いてる大学病院の院長の娘なんだよ。同じ消化器外科医だし、さすがの優も無下には扱えないみたい」
菅谷先生もあの女医さん……菊池先生も彼と同じ大学病院で働いているらしい。菅谷先生は彼に頼まれて、菊池先生は志願してここに非常勤医として来ているそうだ。
「全然相手にされなくて、相当プライドも傷ついてるだろうから。そこに本命が現れちゃったらそれはもう、気に入らないだろうね〜。まあ、がんばれ。応援してるよ」
励ますようにポンと背中を叩かれるが、ニヤニヤした顔で言われても説得力がない。
そんなことを言うなら、どこをどう気をつければいいのかを教えてほしい。
ああ、なんだかすごく面倒なことになってしまった。
どうしようもなく憂鬱な気分を抱えながら、上機嫌に鼻歌を歌う菅谷先生の後ろについて病院の中を歩いた。
* * *
ーーつ、疲れた。
初仕事が終わり、彼の車に乗った私はぐったりと身を沈めた。
あれから菅谷先生にさらに五人の患者さんを紹介されて、とりあえず十人の患者さんを受け持つことになった。