俺様ドクターに捕獲されました
初日だから、自己紹介も兼ねてコミュニケーションをとりながら手浴を行なったのだけれど、看護師さんたちの反応は非常に冷たいものだった。
使う器具の場所を聞いても目も合わせてくれず、なかには露骨に無視する人もいた。
思った以上のアウェーの中で、患者さんの情報を収集して看護師さんのケアの邪魔にならないようにスケジュールをたててきた私、がんばった。
「大丈夫か?」
「うん、大丈夫。ちょっと緊張しただけ」
嘘。全然、大丈夫じゃない。久しぶりに針のムシロにさらされて、だいぶ神経が擦り切れた。
とりあえず、サロンの定休日である木曜日に毎週来ることになったけど、あんな雰囲気の中で仕事をするのは正直、不安だし気が重い。
それに、私は臨床から逃げ出してしまった人間だから。どうしても彼女たちに劣等感を感じてしまう。
「嘘つけ。俺の前では無理すんな」
暗くなっていた私の頭に、ポンと大きな手が乗せられる。運転席に座った彼が珍しく申し訳なさそうな顔で私を見ていてちょっとドキッとする。
「悪いな、俺のせいで。俺がいい男すぎるから、りいには苦労をかける」
おい、そこかい。ドキッとしちゃったのに、結局、モテ自慢ですか。
「さっき守ってやるとは言ったが、さすがに四六時中張り付いてるわけにもいかないからな。嫌な思いはさせるだろう。でも、りいが呼んだら必ず助けに行く。だから、なにかあったら俺を頼れ。で、りいはなんでそんな不安そうな顔をしてるんだ?」