いつか君と見たサクラはどこまでも
【赤坂優馬】
最近では、ネットでの合格発表が増えている。

俺達もそうだった。サイトに受験番号を入れて、クリックすると結果が出てくる。

「はぁ、やっぱりね」

結果は不合格。

今週は翔のことで頭がいっぱいで、受験なんて気にしていなかった。こんなの言い訳にすぎないが。


この結果に対して、家族は誰も口出しをしなかった。今は翔のことの方が重大だからだ。

ただ、父さんだけは言葉をかけてくれた。

「お前の目標は受験に受かることじゃない。医者になることだろ」

そうだった。忘れていた。

大学に入ることだけを考えていた。最終目標はそれじゃない。もっと大きなことだ。

父さんの言葉が俺を強くしてくれた。

そして翔の受験はもうすぐそこに迫っていた。

翔が受験をするかどうかはまだ聞いていないけど。


「あーかーさーかー」

その声で目が覚めた。

「なんだよ桜井。お前も不合格者か?」

軽く言ったつもりが、結構深く伝わってしまったみたい。

「うん、そうだよ。次、だね」

そうだよね。次頑張らなきゃ。受験に負けたんだもん。

いつまでも引きずるなって、父さんは言ってたよね。それはきっと間違いじゃない。だから次のために頑張ることが大切なんだよね。

「今日放課後さ、翔のとこ行かない?」
「うん、いいよ。受験もう少しだもんね」
「まぁ、受けるかどうかは知らないけど」
「そっか」

翔がどうするつもりなのか俺にはわからない。人生のうちで一緒に過ごした時間が少ないから。

でもこれから少しずつ増やしていけば、きっといい思い出になるのかな。

残りわずかの命も支えてあげることができるのかな。
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