空高く、舞い上がれっ。
いつものわたしなら、調子乗るなー‼ってツッコミを入れるところだけど……今日は、しなかった。あまりにも、声が心に直接響くから。

「泣くなよ」

「泣いてないもん」

こいつはバカだと思う。
どうしてこんなに、まっすぐにわたしを見てくれるんだろう。どうしていつも、わたしの頭を優しくなでてくれるんだろう。
そんなことするから、わたしは輝空くんのことを……

輝空くんは制服の袖でわたしの頬を通るものをぬぐってくれた。輝空くんの中にわたしを気にとめてくれる時間があるって考えると、些細なことだけど無性に愛しくなる。

「わたし、諦めてないから。
まだ、明日がある。今日を無駄にはしないよ。関東大会、わたしはまだ諦めてないから‼」

そう言うと、輝空くんはブイサインをした。
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