空高く、舞い上がれっ。

生きなきゃいけない──……




夏の予選大会は毎年地方テレビで放送される。
学園祭で応援に行けない一回戦をDVDレコーダーに予約した。握りしめたリモコンに涙の跡が残る。

潜り込んだ布団の中で、いつ寝てしまったのか。夢に出てきたあの人は顔が見えなかった。

こっちを向いて、わたしを見て。行かないで、置いていかないで。
叫び目覚めた時、外はまだ夜明けを待つ薄暗さ。それなのに、目に見えたのは10時47分を示す置き時計。
カチカチと、秒針の音が聞こえない。
いつの間にか時計の電池が切れていたのかも。

輝空の気持ちがいつから止まってしまっていたのかもわからないわたしは、ただ泣くことしかできなかった。



***

「おはよう‼」

寝癖でボサボサの髪とパジャマ代わりのスウェット姿で階段を下り、台所のドアを開く。すると、そこには目玉焼きとキャベツを乗せたトーストを頬張る寧音と尊がいた。
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