空高く、舞い上がれっ。
「……はぁ」

「はへぇ~……」

「…………」

「9組のやつ何したんだろうな……」

「なんだろね……」

ため息、数秒の無言。後に来たのは二人の笑いだった。

「あはははっ、びっくりしたー‼」

「マジ捕まったらしゃれにならねぇからなぁっ」

テンションの上がったわたしたち。
輝空くんがトイレの窓を開けた。

「歩舞、雪合戦しよーぜ」

「あははっ、負けないよっ」

わたしと輝空くんは夜の白い世界に飛び出した。
先に外に出た輝空くんは、後から出るわたしを滑り落ちないように気づかってくれる。
そういう何気ないところが好きだ。


あたりは一面の白。

「ヨーイ、ドン‼の合図であそこの木まで追いかけっこをしよう」

ヨーイ……と合図は輝空くん。
ドン!と言う前に走り出したわたしを、卑怯だ‼やり直しっ‼と、言いながら新雪の足跡を追いかけて来る。
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