彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)





「円城寺。」

「あ!?な、なんだ・・・?」

「総長代行の仕事は、総長補佐と同じだ。けど、俺がいろんな事情で地元をあけたり、どうしてもオメーらと合流できないときは、お前が龍星軍の頭だ。」

「凛道・・・・」

「そういうわけだから、可児!」

「は、はい!」

「その時は、副総長として『総長』代行に忠実に従ってくれ。」

「は・・・・・・・いいい!?そ、そいつに従えと!?」

「言っただろう?『総長』と名のつく者の命令に従ってもらうと?お前だって、誓いを立てたじゃないか?」

「そ、そそそ、そうですが!円城寺なんかの下につくのは!!」

「総長の命令が聞けねぇのか、副総長!!?」

「いっ!?と、とんでもない!!従いまー・・・・す・・・・!!」

「わかりゃいい。」



目を潤ませながら誓ってくれる可児君は、本当に情に厚いと思う。



〔★泣いてるのは別の理由だ★〕




「じゃあ、円城寺君。腕章を。」

「来い、大河。」

「あ・・・・はい・・・」




瑞希お兄ちゃんに呼ばれ、私から離れる円城寺君。

うつむき加減で歩く姿に不安を覚えたが、





「円城寺大河、初代総長代理の腕章、受け取ってくれるな?」

「瑞希先輩・・・・」

「ほら・・・」





顔を上げた円城寺君は、差し出された腕章を受け取らない。





「瑞希先輩は・・・知ってたんすか?」

「なにをだ?」

「総長代行・・・・」

「初耳だよ。凛に任せたから、好きにさせた。」





そう言って、さわやかな笑みを浮かべる愛しい人。





「受け取ってくれるか?」

「俺に・・・・・あんな醜態見せた俺に、受け取る権利あるんすか?」

「ある。」





心地よい声が、円城寺君に語り掛ける。





「オメーは、凛と4代目総長を争った男だ。オメーだからこそ、俺も任せられるんだ、大河。」

「―――――――――瑞希先輩!!」





それで円城寺君の手が腕章をつかむ。





「円城寺大河、龍星軍初代総長代行を慎んでお受けいたしますっ!!」

「おう、頼んだぞ。」

「はいっ!!」




瑞希お兄ちゃんから円城寺君への引き継ぎは成功した。

私には見せることのない、瑞希お兄ちゃんだけにしか見せない顔でうなずく円城寺君。

無邪気な子供のような姿だった。




〔★大河は総長代行の腕章を手に入れた★〕



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