彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)
「ふー、良い湯だった♪凛、帰ったぞ!」
部屋を後にしてから2時間後。
長湯をしてさっぱりしてきた瑞希が部屋に戻る。
「凛?どーした、風呂か?」
いつもなら、目をキラキラさせて「おかえりなさい♪」と、飛び出してくるのに反応がない。
一瞬首をかしげてから、俺はハッとする。
(まさか!?溺れた時の後遺症で、倒れた!?)
「凛っ!!」
大慌てで飛び込み、部屋中を見渡した結果。
「スー・・・・スー・・・・」
「・・・・脅かすなよ・・・・」
縁側の椅子に腰かけ、すやすやと眠る弟分の姿。
「こんなところで寝ちまって・・・・風邪ひくぞ?」
そう声をかけて頭をなでて見るが起きる気配はしない。
「にしてもこいつ、このくそ暑いのに、野球部が着るインナー着るほど冷え性なんかよ・・・?」
本当はわかっている。
「まぁ・・・・いいけどよ・・・」
(凛のことだから、見られたくない傷とかあるのかもしれねぇな・・・・)
ロクでもなさそうな親だから、怪我の1つも体にある。
それを隠したいのだろう。
〔★瑞希なりの予想だった★〕
「さてと・・・じゃあ、お子ちゃまは寝るか?」
そっと・・・・穏やかな寝息を立てる凛を抱き上げる。
俺が触っても起きないということは、相当疲れたのだろう。
「すげーぜ、凛は?遊びもしつつ、人助けやもしちまうんだもんな?」
凛が助けた女の子が助かったという正式な連絡が、先ほど地元の警察が知らせに来た。
それを教えてやるのは、明日でもいいだろう。
今はこの寝顔を、眠りを、終わらせるようなことはしたくない。
「おやすみ、凛・・・」
畳の上に敷かれた布団に凛を寝かせる。
おでこを撫でてやれば、ふにゃっと笑う。
癒される可愛い笑み。
「さて、仕方ないから1人で行くか。」
書き置きを残し、電気を消して、部屋を後にする。
「あーあ。凛が寝ちまったって知ったら、モニカがうるさいだろうな~?」
(本当だったら、凛も呼んで、皇助の部屋で宴会だったんだが・・・・)
寝てしまっては仕方ない。
可愛い子を起こすことは出来ない。
野暮はしない。
〔★本人が知れば、絶叫して後悔するだろう★〕
(凛がいないのは残念だが・・・・・我慢我慢。)
少しだけ寂しく感じながらも、軽い足取りで仲間の待つ部屋へと向かった。