契約婚で嫁いだら、愛され妻になりました
区役所を飛び出した足で、ローレンス本社へ急ぐ。
鈴音はタクシーから降りてすぐ、再び駆け出した。
建物手前の階段でうっかり躓くと、膝をついて転んでしまった。
「いたた……」
右膝を押さえ、顔を歪める。しかし今は、足の痛みも周りの視線も気にしてなんかいられない。
すぐに立ち上がり、受付に向かったが生憎接客中で話ができない。
鈴音は待ちきれなくて、勝手に専用エレベーターまで行き、乗り込んでしまった。
(上階にも秘書の人がいる。今だけは待っていられない!)
いつもなら絶対に順序立てて行動するが、そんな常識を飛び越えてしまうほど気が急いていた。
エレベーターを降り、角をひとつ曲がって秘書の女性と対面する。
「突然すみません。至急、秘書室長の柳多さんにお会いしたいんですが」
秘書も受付からの連絡がなにもない状態で突然現れた〝副社長の妻〟に動揺し、しどろもどろとする。
「あの……今は副社長室に」
「ありがとうございます」
「あっ。少々お待ちくだ……」
鈴音を呼び止めかけようとしたタイミングで、運悪く内線が入る。
秘書は素性がわかっているのもあり、迷いながらも内線を取って、鈴音の背中を横目で見送った。
颯爽と副社長室へ向かう鈴音は、迷いなど見られない。
扉の前で足を揃え、右手の甲を打ち付けようとしたときだった。
「正気か!? 今さら本気でそんなこと!」
鈴音はタクシーから降りてすぐ、再び駆け出した。
建物手前の階段でうっかり躓くと、膝をついて転んでしまった。
「いたた……」
右膝を押さえ、顔を歪める。しかし今は、足の痛みも周りの視線も気にしてなんかいられない。
すぐに立ち上がり、受付に向かったが生憎接客中で話ができない。
鈴音は待ちきれなくて、勝手に専用エレベーターまで行き、乗り込んでしまった。
(上階にも秘書の人がいる。今だけは待っていられない!)
いつもなら絶対に順序立てて行動するが、そんな常識を飛び越えてしまうほど気が急いていた。
エレベーターを降り、角をひとつ曲がって秘書の女性と対面する。
「突然すみません。至急、秘書室長の柳多さんにお会いしたいんですが」
秘書も受付からの連絡がなにもない状態で突然現れた〝副社長の妻〟に動揺し、しどろもどろとする。
「あの……今は副社長室に」
「ありがとうございます」
「あっ。少々お待ちくだ……」
鈴音を呼び止めかけようとしたタイミングで、運悪く内線が入る。
秘書は素性がわかっているのもあり、迷いながらも内線を取って、鈴音の背中を横目で見送った。
颯爽と副社長室へ向かう鈴音は、迷いなど見られない。
扉の前で足を揃え、右手の甲を打ち付けようとしたときだった。
「正気か!? 今さら本気でそんなこと!」