清廉の聖女と革命の鐘

_こうなるのも当たり前か…。

結界は島全体を覆うほど巨大で、それを彼女はたった一人で今まで保ち続けてきた。そのためには相当な体力と精神力が必要なはずだ。

そして、何百年と継いできたその強固な結界を破壊されたということは、術者への反動は計り知れないだろう。

ブルーノは彼女の頬に指を滑らせた。彼女の雪のように白い肌はさらに氷薄のように白くなっていて、もう生への執着を無くしたかのようでブルーノの胸をさらに締め付ける。

「ブルーノ様、速く聖女様を医務室に!」

「あぁ。あなたたちは急ぎ避難誘導を!」

『はっ!!』

部下にさとされ、ブルーノはクリスティーナを横抱きにし、医務室に向かって走り出した。わずかな振動も与えたりしないよう慎重に、かつ迅速に。

目にうつるのは混乱しきった貴族や聖職者たち。それもそのはず。頼れる聖騎士たちの大半はギルバートとともにこぞって島の端、つまり結界のはられた沖のほうへ様子を見に行っていて、この騒然とした場をおさめられるほどの人手がいないのだから。

「ま、まずは国王様の身の安全の確保だ!城まで護衛するぞ!」

国王直属の部下が声を張り上げたため、ぞろぞろと彼の周りに人が集まっていく。

ちっ。ブルーノは小さく舌打ちをした。
人が多すぎて邪魔だ。だが、道をあけるよう言ったところで、再び混乱がおきるだけ。

めんどうだが、人気のないところを遠回りするしかない。

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