清廉の聖女と革命の鐘
報告だと?
ブルーノの眉間にぐっと皺がよる。
恐らくミカという男は仲間との通信を担当しているのだろう。どうやって相手とのコンタクトをとるか定かではないが、これはまずい。
これ以上敵が増えたりしたら、さすがに聖女様を守りながらは戦えない。なら、人数が少ない今のうちに強行突破するしか方法はない。
ブルーノは鞘から剣を抜く。
「おいおい、人間一人抱えたまま俺らと張り合おうってのか。おもしれぇ!相手してやるよ」
ブルーノの動向に目を付けた男が威勢の良い声を張り上げ、が同じく鞘に手をかけた。ビリビリと彼らから伝わってくる殺気。その呼吸が周りの空気に異様な流れを作り出していた。
間違いない。彼らは戦い慣れしている。しかもかなりの手練れだ。
「人間…?
…あの少女、純白の巫女装束、そしてなによりあの銀の髪、まさか、清廉の聖女?」
ブルーノに抱えられているクリスティーナに目線を落とした男が、驚いた声を上げる。
_気づかれた!?
背筋に冷たいものが走る。
「あ゛?さっきから何ぶつぶつ言ってんだ。うるさくて集中できねぇだろうが」
対峙していた男が注意を少しそらした隙に、ブルーノは極端な前屈みによって一気に踏み込み、相手の懐に飛び込む。
「うおっ!」
不意をつかれた男は、とっさにブルーノの剣戟をかわそうとするが、慣れない足場でバランスがとれず後退する。
ブルーノは深追いはせず、まっすぐそのまま突っ切ろうとした_
「ミカ!」
鋭い男の声。
「はいよっ!」
細長い筒上の物体が飛んでくる。避けようと一瞬止まりかけたブルーノの足元に、カランッと軽い音を立ててそれが落ちた。
パアアアアア!
いきなり、眩い光がブルーノの目に直撃する。
「くっ」
ブルーノは片膝をついて倒れ込む。
閃光弾か…。
あまりの衝撃に、目だけではなく頭まで朦朧とする。
くそっ!いつどこに敵が現れるのかわからない状況で注意をはらうのを怠るなんて!ぬかったっ。
心うちで悪態をつく。
ブルーノは再度立ち上がろうと、足を踏ん張るが_。
ピタッ、首筋にひんやりと冷たい金属があたった。
「動くな」
冷淡な声が頭上から降ってくる。