清廉の聖女と革命の鐘

「貴様にはいろいろと聞きたいことがある。少しでも妙なまねをしたらその命は無いものと思え」

ブルーノは視力が戻りだした目で、睨みつけるように声のする男の顔を見上げた。
フードから僅かにのぞく瞳は見たことのない灰色で、それを銀縁の眼鏡で囲っていた。

男からふっと目線を離したブルーノは、次にすぐ近くにいるミカと呼ばれる男をみた。
ミカは物珍しげにブルーノたちを見てて、先程の理知的な様子の男と違ってミカは随分、子供らしい無邪気な瞳をしていた。そしてその目もまた、灰色だった。

「なるほど。そういうことですか…」

「?」

きょとんと首を傾げるミカに向けて、ブルーノは笑った。ぞっとするほど、静かで落ち着いた笑みだった。

「あなた方は風の民族の末裔。ヴァイスブルグ帝国の者ですね」

男たちが持つ灰色の瞳や、先ほどのあの異常な暴風から察するに間違いないだろう。どれもヴァイスブルグの民たちの特徴だ。

「しかし、おかしいですね。あなた方の国とエルカイダは、古くからの友好国で5年前には不可侵条約も結んだはずです」
ゆっくりと確認するように言葉を紡ぐ。
鎖国状態のエルカイダ唯一の貿易相手であるヴァイスブルグによるこの暴挙。

「エルカイダへの侵略行為と受け取ってもかまわないということですか?」

ブルーノは挑発するように彼らを見据えた。ミカの頬に力がこもったのをブルーノは見逃さなかった。

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