清廉の聖女と革命の鐘

「ブルーノ、この方たちは?」
クリスティーナは落ち着いた口調で、ブルーノにこっそりと聞いた。

「この_」

「わたくし達はヴァイスブルグ帝国のものです。私はクラウディオ・ディ・セリオス。以後お見知りおきを、聖女様。いや、クリスティーナ・フェリテ・エルカイダ王女殿下」

ブルーノを遮るようにして、クラウディオは丁重な口調で挨拶とともに優雅に礼をした。

いきなり喋り出されてびくっと肩が震えたが、相手にさとられまいと平静を装った。

「地獄耳ですね」
ボソッとぼやくブルーノの意見にひそかに同意する。

「あら?ヴァイスブルグ帝国の方々がどうしてこんなところに?それに、名前を聞くかぎり、あなたは選帝候の親戚か何かですよね?」
素直に疑問をぶつける。

クリスティーナが選帝候という名を口にした途端、ブルーノの気配が揺れた気がした。彼は知らなかったのだろう。クリスティーナとて驚いている。
まさか選帝候の一族が出向いてくるなんて…。

「えぇ。さすが王女殿下。わたくしの名前を覚えていらっしゃったとは光栄です」

「御託はいい。あなた方の目的は?なぜ私たちを襲う?」

背中からもわかるほどの威圧感。ブルーノはいつにもなく不機嫌だ。クラウディオは銀縁の眼鏡の奥の灰色の瞳を冷たく凝らせて、ブルーノを見た。

「わたくしは今、クリスティーナ王女殿下と話をしている。貴様などにようはない」

「ほお?」

今にも一触即発の2人をクリスティーナは、ハラハラした思いで見ていた。
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