清廉の聖女と革命の鐘
クリスティーナは落ち着こうと呼吸を整える。
その時
_ドンッ
あまり遠くない場所で、何か硬い物が当たったような鈍い音が聞こえた。
ついで、「ぐえっ」といううめき声。
突如、次々に叫びがこだまし、刃を交わす高い音が響いた。
クリスティーナは、はっと顔を上げる。
_まさか!?
「私を忘れられては困ります、聖女様」
落ち着きを払った声に、爽やかなあの笑み。
「ブルーノ!」
数十メートル先、純白のマントを翻して敵をなぎ倒していくブルーノと目があった。
「すぐにそちらに行きます!もう少しの辛抱です!」
ひょいっと身軽に突進してくる男をかわし、その背を蹴りつけるブルーノ。
頼もしい騎士の背中を目にして、クリスティーナの心に光がさした。
「なんだあいつは!」
「わかりません!ですが、清廉の聖女を狙っているようすっ」
「聖女の周りを囲め!絶対に彼女を敵にわたすな!」
『はっ』
クリスティーナの周りにいっそう人が集まる。
_ぐあっ!う゛っ!
人が多くて向こうの状況がまったくわからないが、少なくともブルーノに男たちはてこずっているようだ。
「何を一人に手間取っているんだ」
クリスティーナを拘束している男が苛々したように吐き捨てる。