結構な腕前で!
「今日は一仕事したし、裏部長は店仕舞いです」

 不貞腐れたように言い、せとみは出て行ってしまった。
 特に止めることもなく、せとかはいつもの定位置に座り、柄杓を釜に突っ込んだ。
 はるかがお菓子の器を集め、台所に去る。

「部長。あの人の入部、どうするの?」

 三人になったのを見計らったように、はるみが口を開いた。

「入部者が増えるのは、まぁありがたいのですが。使えない人が入っても足手まといですしねぇ」

 土門が聞いたら泣きそうな評価だ。
 なかなかせとかも容赦ない。

 でも、てことは私は使える人間ってことだね? と心の中で思い、萌実はほっとする。
 ただそれが、あくまで魔と対峙するにあたっての役割であって、せとかの感情ではない、というところが悲しいところなのだが。

「ところであの人、あんな具合悪くて大丈夫なんですか? あれって魔のせいですか?」

 萌実が聞くと、せとかは、ええ、と頷いた。

「守りの力のない人間が、あんなにがっつり魔に組み付いたらああなります。まぁ、あれも慣れなので、回数をこなせばある程度は耐えられるようになると思いますが」

「そ、そうなんですね。何か目の当たりにしたら、素手で触るのが怖くなります」

「大丈夫ですよ、南野さんは。言ったでしょう、最強の守りと祓いの力がありますから。まぁ気になるなら、武器を用いるのもいいですけどね」

 にこりと笑う。
 ああ、やっぱりせとかには部員として必要とされてる!
 いつかそれを『せとかに必要』に変えてやる! と、萌実はせとかの笑みにくらくらしながらも、ぐっと拳を握るのだった。

「さてそれよりも。どうしましょうかねぇ」

 萌実の熱い胸の内など意に介さず、せとかはため息と共に廊下に目をやった。
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