結構な腕前で!
 土門のために布団を敷いたとはいえ、やはりせとかも冷たい目で足元に転がる巨体を見下ろす。
 せとみが、ぐい、と足を土門の身体に乗せた。

「転がしていけばいいじゃねーか、こんなもん」

 そう言って、ぐ、と足に力を入れる。
 蹴り転がす、ということか。
 が、その足を、ぱしっとはるかが叩いた。

「人を足蹴にするもんじゃないわ」

「何だよ。ストーカーよろしくこんなところに乗り込んできた挙句、勝手にぶっ倒れた奴なんて、ゴミ以外の何物でもないだろ」

「土門くんは、そんなんじゃないわよ。何の力もないのに、必死で戦ってくれたじゃない」

 おっ? と萌実は身を乗り出した。
 意外にはるかは、土門に悪い気はしていないようだ。
 せとみも、驚いたような顔で固まっている。

「大体、こんな具合悪そうな人を転がしたら、ますます気持ち悪くなるでしょ」

「そうですねぇ。吐かれたりしたら堪りません」

 黙ってはるかを見ていたせとかが、呟きながら土門の足元に屈みこんだ。

「とはいえ、この巨体を持ち上げるのも一苦労……。せとみ、そっちの足を持ってください。南野さんは腕を。はるみも片方の腕を持って。はるかは頭を支えなさい」

「何ではるかが頭なんだ!」

「一番しがらみがなさそうだからですよ。ほら、さっさと持って」

 噛みつくせとみをさらりと流し、せとかは、よいしょ、と片足を持ち上げた。
 萌実もはるみも、それぞれ両腕を持ち上げる。
 五人がかりでようやく持ち上がった土門を結界部屋に寝かせ、再び茶室に集まったときには、すっかりせとみの機嫌は斜めになっていた。
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