結構な腕前で!
「どうです? 具合は」

「何ともござらん。むしろ綺麗に決まって清々しい」

 ぐ、と拳を握り、土門が胸を張る。

「触ったのは固まった後の部分ですからね。ま、念のため、はるかに浄化して貰ってください」

「おいこら。何ではるかなんだ」

 すかさずせとみが文句を垂れるが、せとかはさっさと掃除の指示を出す。
 そして、冷たい目でせとみを見た。

「別にせとみでもいいですよ。でもはるかよりも弱いですから、ずーっと抱きついておいてくださいね」

 うげ、と顔をしかめ、せとみはささっと土門から距離を取った。

「そんなことよりも、こうすれば土門の柔術も使えるってことです。やっぱり柔術は、決まると大きいですね」

 満足そうに言い、せとかは自分も箒で飛び散った塊を集めていく。
 はるかが土門の手を取りながら、せとかを見た。

「つまり、先にせとかが手前の一部を塊にして、土門くんが持てるようにするってこと?」

「そうです。土門は掴めれば最強ですからね。何とか活かさないと勿体ない」

「柔道の技の鍛錬にもなるし、これはいい」

 せとかも土門も満足そうだ。
 はるかも土門の浄化を嫌がるわけでもない。
 せとみはもちろん不満そうだが、はるみも、そっか、と手を叩いた。

「じゃあ、これで晴れて土門くんも茶道部の正式な一員ね。心強いわ」

「おい……」

「せとみも裏部長として、きっちり協力してよ」

 異を唱えようとしたせとみを、はるみが遮った。
 その様子を見、萌実はちょっと複雑になった。

 皆が皆、せとみの恋路よりも土門のほうを応援しているように見える。
 確かにせとかの言う通り、先々のことまで考えると、やめておいたほうが無難な相手ではある。

 だが恋ってそういうもんじゃないだろー! と、毎日茶道部で拳を振るっているとはいえ、一応自身も恋する乙女な萌実は思ってしまうわけだ。
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