結構な腕前で!
「まぁでも、できる限りのことはしますわよ。花粉がつかないような生地でお着物を作ったり、常に空気清浄機をフルパワーで稼働させておいたり。花粉の少ないお花を選ぶこともできますしね」

「そっかぁ。じゃあそうしましょうよ」

「お黙り。今のはせとみ様が花粉症であれば、の話です。何故根暗部長のために、わたくしがそこまでしないといけないの」

 ち、と密かに舌打ちし、萌実はジャージのまま部室のほうへと移動した。
 広い座敷の奥には、本日のお花が届けられている。
 毎日新鮮な生花が届けられるのだ。

「ではあなたは適当に花器を選んで。今日のお花を見て、どの花器が映えるかを考えるんですのよ」

「え~? そんなのわかんないです。ていうか、別に私は華道はしなくてもいいんです。ここの魔を相手にするためでしょう?」

「まぁっ! 何を仰るのかしら! 華道は茶道よりも実生活に役立つものですのよ! 女子であるなら、お花の一つや二つ、活けられなくてどうするのです!」

 確かにそれは一理ある。
 日常生活でお茶を点てることはまずないが、花を活ける機会はままあろう。

「でもそんなことしてると、魔を感知する訓練が疎かになります」

 何となくイメージだが、出現前の魔を感知するには、集中力が欠かせないような。
 静かにじっと目を閉じて、魔の気配を探らないと見つけられないものではないのだろうか。

「そういえば、真行寺先輩は、壺ってどうやってるんです?」

 座ったまま聞いてみると、由梨花は、ちょい、と床の間を指した。
 そこには立派に花を活けられた花器が置かれている。

「あれなんですか?」

「そうよ」

 床の間に置かれている花器は、確かに壺型だ。
 が、持ち運びも大変そうな、一抱えほどもある大きさだ。
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