結構な腕前で!
「まぁ持ち運ばないのなら、あれでもいいかもですけど」

「わたくしは一人なのですから、どこかにしまっていちいち出してくる暇なんかありませんのよ」

「でもお花活けてますよね?」

 異界への入り口に花を活けても大丈夫なものなのだろうか?
 何か見たことのない花だが。
 まじまじと花を見ていると、由梨花が、少し面白そうに口を開いた。

「あなた、その葉っぱの部分をつついてごらんなさい?」

「へ?」

 振り向くと、由梨花がにやりと笑っている。
 邪悪な笑みだ。
 きっと言う通りにしたら、ろくなことにならない。

「……大事なお花を傷付けたらいけないので、まずは先輩が扱い方のお手本を示してくださいよ」

 萌実が言うと、由梨花は、あら、という顔をした。

「なかなか鋭いわね。面白くないですわっ」

 言いつつ、ぱちんと切った茎を、ぴ、と壺に向かって投げる。
 壺に入れようという風ではなく、活けてある花に当てる勢いだ。

 いいのだろうか、と思った萌実の目の前で、茎が、ぽん、と葉っぱに当たる。
 その途端、葉っぱが、ばし! と茎を掴んだ。

「ひえっ?」

 驚く萌実の前で、葉っぱは捕まえた茎をむしゃむしゃと咀嚼する。

「その子、触れたものに食い付くんですの。魔も、投げ込めば喜んで捕らえてくれますわ」

「いやいや、こんな危険なものに指掴まれたらヤバいじゃないですか!」

「身をもって体感したほうがいいかと思って」

 ヤバい方面のドSだ、この女、と萌実は思い切り壺から身を引いて由梨花を睨んだ。

「その子は見ての通り、食虫植物。食虫っていうけど、実際は何でも触れたものに食い付くんですの。魔はいい餌ですわ」

 おほほほ、と笑う由梨花を、萌実はうんざりと見た。
 せとみに惹かれるだけあり、せとみっぽいところが多々垣間見える。

 何気に二人は気が合うんではないかと思えてしまう。
 ただ無茶苦茶な二人ではあるだろうが。
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