結構な腕前で!
「毎日のように居眠りしていたのに、同じような条件で、しかもこっちのほうが眠くなる条件は揃っているのに、ここでは眠くならない。華道部に、南野さんがそうなってしまう原因があるんですよ」

「え? じゃあ私の居眠りは、私のせいじゃなかったんですか」

「ええ。というか、あれは居眠りってなもんじゃないですね。南野さんの内部が、空洞になった、と言いますか」

 きょとんとした後、萌実はぱたぱたと自分の身体を叩いた。
 それに、あはは、とせとみが笑う。

「大丈夫だよ、心配しないで。穴が開いたりしてないし」

「怖いこと言わないでくださいよ」

 中が空洞、とか言われると、どう頑張ってもいい意味に取れない。

「つまり、南野さんそのものが壺になった、ということです」

「ええっ!!」

 何だか次から次へと怖いことを言う。
 萌実は半泣きになって、意味なく己の身体を抱きしめた。

「……というよりは、あそこの壺と呼応した……てことですかね」

「あの食虫植物が、強力な空間を作り出してるんだと思う」

「南野さんは守りの力が強いので、植物の発する力と同調したんですよ。だから意識がなくても、南野さんに魔は近付かなかった。多分同調中の南野さんに触れたら、魔は一発で南野さんに取り込まれたでしょう」

「いや、私、魔とか食べませんから」

 それではまるで萌実も食虫植物ではないか。
 否定してみるが、今問題なのはそこではないのでスルーされてしまう。

「ということで、華道部で魔の気配を探るというのは元々無理があったということです。ここよりも弱い魔に対して、ここよりも強い壺があるわけですから。気配を察知する前に抹消されてしまうでしょう」

「えっと。じゃあもう華道部には行かないでいいんですね?」

「そうですねぇ。でも、気になることはあるんです。あそこの壺は不思議なので。厳密に言うと、壺というよりそこに活けられているという食虫植物ですが」

 確かに、壺の中が魔を帰す空間ということは、あの食虫植物はどう活けられているのだろう。

「中を覗き込んでも、暗くてわかりませんでした」

 うーむ、と考える。
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