結構な腕前で!
「わからないけどね。萌実さんとせとかの力は、もしかしたら元々一人の人間の力だったのかもしれない。それを考えると、せとかも同じような症状が出るかもしれないでしょ」

「そ、そうですね。せとか先輩がびーちゃんの影響で意識不明になったら、どうなるのか想像つかないですね」

 攻撃系の力が高まるのだろうか。
 爆発的な力の放出の後の爆睡の酷い版かな、とも思うが、力を放出する間もなく、いきなりそうなった場合、勝手に力が暴走するかもしれない。
 萌実の場合も、言ってしまえば力の暴走だ。

「攻撃系の力の暴走ってことは、ちょっと恐ろしいことになるかもしれませんし」

「そうね。それこそせとかの身が危険だわ。ていうか、それ以前に花粉症のほうが発症するでしょうけど」

「あ、そっか。それがあるから、せとか先輩はそもそも真行寺家には足を踏み入れられないってわけですね」

 ぽん、と萌実は手を叩いた。
 もしかして、せとかの、あの花にしか反応しないわりに酷い花粉症は、びーちゃんから身を守るためのものだったりするのだろうか?

「う~ん、でもびーちゃんに花はないけど」

「真行寺家と、何らかの繋がりがあったのかも。これまでよりも強い力のせとかの代で、また関わることになるから、必要以上に近付くことのないように、花粉症が発症したのかもね」

「上手いことできてますね」

「そう考えると、全てが運命だわ」

 運命とはいっても、魔を中心とした運命の輪であって、決して甘やかなものではないところが悲しい。

「とにかく、初代神の子のことを調べるけども、由梨花の家には行きたくない、と」

「何でですか? 私は行きたくないですけど。はるみ先輩も何かあったんですか?」

「あそこ、庶民には息が詰まる」

「……同感です」

 家に行かないのであれば、見たい資料のあれこれを由梨花に頼まねばならない。
 そのことも含めて、せとかたちと相談してみる、と言うはるみと別れ、萌実は今日一日のことをあれこれ考えながら、家路を辿った。
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