結構な腕前で!
 それから一時間ほどして、わらわらとせとみたちが帰ってきた。

「せとか~、救急箱~」

 どたどたどた、と足音がし、はるかが茶室に駆け込んでくる。
 そして押し入れから昔ながらの救急箱を取り出した。

 その間に、どやどやと他の者も部室に入ってくる。
 ふと見ると、いつの間にかせとかは眼鏡とマスクを装着していた。

「真行寺さんが土門くんに、びーちゃん運ばすもんだからさぁ、噛みつかれちゃって大変だったのよ~」

 最後に入ってきた土門は、いたるところに歯形がついている。

「それだけのガタイをしているのだから、力仕事を任せるのは当然ですわ」

 いきなり茶室内が、ぱっと華やかな空気になり、由梨花がずかずかと入ってくる。
 せとかが、ささっと壁際に避けた。

「大体、噛まれないでびーちゃんを扱えるのって、あんただけなんだから、あんたが植えるべきなのよ」

「わたくしにそんな肉体労働を強いるつもりなの? いい度胸ですわ」

 ぎらりと由梨花の瞳が光る。
 土門を消毒しながら、はるかはちょっと身を引いた。

「せとみだって、手伝ってないしさっ」

 八つ当たり気味に言われたせとみに目をやると、確かに傷一つない。

「せとみ様にそんなことさせようだなんて、あなた、何様のつもりなのっ!!」

 由梨花が激昂し、凄い勢いではるかに迫る。
 ひぃ、と引き攣るはるかを、ぐい、と引き寄せ、土門が前に出た。

「まぁまぁ落ち着いてくだされ。済んだことはよろしかろう」

 土門が前に出ると、由梨花はぴたりと止まる。
 それは土門を恐れているわけではなく、単に男々した筋肉達磨が苦手だからだ。
 別に筋肉達磨でなくても、せとみでない男は須く敵なのかもしれないが。
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