結構な腕前で!
「うーん、でも……。万が一萌実ちゃんの意識がなくなっても、カンフルとして使えるのかな?」

「そういえばそうねぇ。まぁせとかのことだから、上手くやってると思うけど」

「まぁあいつがしくじるとは思えないけどな。あいつがあれほどはっきりと萌実ちゃんを守るっつったんだし」

「そうよ。あのせとかが、あんだけ言ったんだから、自分はどうなろうと萌実さんは守ってるはずよ」

「そうだな。てことは、うっかりせとかがぶっ倒れてるかもだな? う~ん、でも俺が行ったところでせとかは運べないし。でも何かが起こったのは確かだと思う。さっきの絶叫は、ただ事じゃなかった」

 うーむ、と悩んでいると、由梨花が扇を口元に当ててせとみを見た。

「せとみ様はお疲れなのですから、休まれたほうがよろしいわ。それにそのような肉体労働、何もせとみ様自らなさらなくても、丁度いい者がおるではありませんか」

 そう言って、くるりと回した扇を、ぴ、と転がる土門に向ける。

「これ、そこのデカブツ。今すぐ昨日の場所に行って、根暗部長とカンフル娘を回収してらっしゃい」

 居丈高に命じる。
 命令文に一切ちゃんとした名前が入っていないところが凄い。

「ちょっと。土門くんはへとへとなのよ。あんたのほうが元気そうなんだから、あんたが行けばいいじゃない」

 はるかが噛みつく。
 だがそんなことで怯む由梨花ではない。

「このわたくしが、何故そのような肉体労働をしないといけませんの? 大体わたくしが行ったところで、わたくしに根暗部長など運べるはずがないでしょう」

「だったらせとみが行けばいい。せとみだって守りの力でそれなりに元気よ」

「何を言うの! せとみ様は、ほぼお一人でこれだけの魔を相手にしてましたのよ? そのデカブツが頼りにならないから、わざわざせとみ様が手間暇かけてデカブツ用に魔を加工してらっしゃったのよ! そんなことをさせたお陰で、せとみ様の体力が二倍も三倍も失われたんじゃありませんの!」

 立て板に水の如く、由梨花がまくしたてる。
 最後に扇を口元で広げると、由梨花は冷たい目を土門に向けた。
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