last summer


ベッドの上にうずくまっていると部屋の
ノックが聞こえた。


いつもまにかママが帰ってきていた。


「風香…入っていい…?」


「…いい…よ…」


急いで涙を拭き、ベッドから机の椅子に
移動する。


椅子に座ったのと同時にドアが開いた。


「風香…優子さんが海の家に来てって…」


優子さん…ゆっこママのことだ。


「うん…!分かった。」


重そうな顔をしているママに出来るだけの
笑顔を作って答えた。


ママは心配そうな顔をして見送ってくれたが、
いなくなった途端笑顔が消えてしまったのは
私でも分かった。


小雨になったがまだ叩きつける雨に
鬱陶しさを覚えながらも歩いていく。
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