初恋のキミは最愛ヒーロー
会話の口調や言葉は少し違う時があるけれど、内容は毎回同じ。
怒りをぶつける桃舞に、最後には言葉に詰まって何も言えなくなった俺が、心の中で謝り続ける…。
そういう夢。
実際、同じような言葉を桃舞に言われたことは一度も無い。
だけど、心の奥では俺に対する怒りを抱えてるんじゃないかと思う。
アイツは優しいから、きっと…俺を責めないように本音を隠しているだけだ。
桃舞は、苦しんでいる。
あの日から、ずっと…。
傷痕の残る左腕に触れる姿を見る度、俺が代われたらいいのに…と思う。
何度、謝っても…
アイツが心に負った痛みは消えないんだ…。
唇を強く噛み締めていた時、突然…スマホのバイブが震え出す。
電話…。
衛佑さん…?
いや、もう…話は無いはず。
不思議に思いながら画面を見ると、そこに表示されていた名前は“桃舞”。
鼓動が、ドクンと荒く波打った。