初恋のキミは最愛ヒーロー

会話の口調や言葉は少し違う時があるけれど、内容は毎回同じ。


怒りをぶつける桃舞に、最後には言葉に詰まって何も言えなくなった俺が、心の中で謝り続ける…。


そういう夢。


実際、同じような言葉を桃舞に言われたことは一度も無い。


だけど、心の奥では俺に対する怒りを抱えてるんじゃないかと思う。


アイツは優しいから、きっと…俺を責めないように本音を隠しているだけだ。


桃舞は、苦しんでいる。


あの日から、ずっと…。


傷痕の残る左腕に触れる姿を見る度、俺が代われたらいいのに…と思う。


何度、謝っても…


アイツが心に負った痛みは消えないんだ…。


唇を強く噛み締めていた時、突然…スマホのバイブが震え出す。


電話…。


衛佑さん…?


いや、もう…話は無いはず。


不思議に思いながら画面を見ると、そこに表示されていた名前は“桃舞”。


鼓動が、ドクンと荒く波打った。


< 158 / 436 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop