初恋のキミは最愛ヒーロー

「夜の街を彷徨ってた俺に、屈託のない笑顔で温かい手を差し伸べてくれたんだ!俺の居場所をくれたんだ!アイツらが、そんなこと…思ってるはずない!」


「紅月…」


「全部、嘘だ!作り話だっ!!」


怒りに満ちた叫びが空気を振動させる。


紅月が強く唇を噛み締めながら、俺を睨みつけた時だった。




「………それ、嘘じゃねぇよ?」


突然、あっけらかんとした男の声が飛んでくる。


俺は空き地の外の電柱のところに素早く視線を移した。


「誰だ、お前ら」


低い声を投げつけると、二人の男が不敵な笑みを浮かべながら空き地に入って来る。


黒っぽいメッシュ入れた明るい金髪の男と、茶髪の男。


どちらも耳にはギラリと派手なピアスが光っていて、手には細長い鉄パイプが握られていた。


「ユウキ、ケイタ…。今、なんて言った?」


紅月も男たちの方に顔を向けると、戸惑いながら訊ねる。


もしかして、コイツら…前のグループの時の仲間?


名前を呼ばれた二人は顔を見合わせると、吹き出すように笑った。


< 170 / 436 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop