初恋のキミは最愛ヒーロー
「夜の街を彷徨ってた俺に、屈託のない笑顔で温かい手を差し伸べてくれたんだ!俺の居場所をくれたんだ!アイツらが、そんなこと…思ってるはずない!」
「紅月…」
「全部、嘘だ!作り話だっ!!」
怒りに満ちた叫びが空気を振動させる。
紅月が強く唇を噛み締めながら、俺を睨みつけた時だった。
「………それ、嘘じゃねぇよ?」
突然、あっけらかんとした男の声が飛んでくる。
俺は空き地の外の電柱のところに素早く視線を移した。
「誰だ、お前ら」
低い声を投げつけると、二人の男が不敵な笑みを浮かべながら空き地に入って来る。
黒っぽいメッシュ入れた明るい金髪の男と、茶髪の男。
どちらも耳にはギラリと派手なピアスが光っていて、手には細長い鉄パイプが握られていた。
「ユウキ、ケイタ…。今、なんて言った?」
紅月も男たちの方に顔を向けると、戸惑いながら訊ねる。
もしかして、コイツら…前のグループの時の仲間?
名前を呼ばれた二人は顔を見合わせると、吹き出すように笑った。