初恋のキミは最愛ヒーロー
「追放?んなバカな話があるわけ…」
「これは、俺の知り合いの警察官の話だから、嘘じゃねぇよ。グループの奴らが一斉に補導された日、メンバーの数人が話したらしい」
固まってる紅月に、俺は事実を話した。
このままトラブルメーカーなリーダーが君臨し続けていたら、いつか警察沙汰になって、グループが崩壊する。
そう危機感を募らせていたメンバーたちが、リーダーと取り巻きの2人の男、そして紅月を追放する緻密な計画を立てたということを。
詳しい内容までは喋らなかったらしいけど、みんなで連携して上手く罠にはめようとしていたようだ。
だけど、それを目前に控えていたところで、まさかの警察沙汰に発展するトラブルが発生。
作戦が失敗に終わってしまい、メンバーたちは、かなり悔しかったらしい。
「ワケ分かんねぇ…。どうして俺が…」
「お前が、総合病院を経営する院長の息子だと知って、金銭面で潤いそうだったからグループに誘ったのに、あまり金を持って来なくて、期待外れだったから…ってことらしい」
「…………そんなの嘘だ…」
ポツリと呟く紅月の声は小さく震える。