初恋のキミは最愛ヒーロー
「うわ、マジで何も気付いてなかったとか…ウケる」
「それだけ、俺らの演技が上手かったんじゃね?人を欺く才能に長けてるのかもな!」
おかしくて仕方ないと言わんばかりに、歪んだ笑みを浮かべる。
下品な笑い声が響いた。
「改めて、俺らの口から言ってやるよ。玲音をリーダーたちと一緒にグループから追放しようとしたのは、紛れもない事実だってな!率先して計画を立てたのは俺ら二人と、引っ越していったシロウだったことも、ついでに教えといてやるよ」
「……嘘、だろ?ユウキとケイタとシロウが俺をグループに誘ってくれて、いつも他愛ない話で盛り上がって、楽しくて…。俺ら4人は特に気の合う友達って感じで…」
信じられない様子の紅月に、茶髪の男は冷たい目つきで口元を吊り上げる。
「バッカじゃねぇの?あんなの、大金を持ってこさせたくて、媚び売ってただけに決まってんじゃん。じゃなきゃ、お前をグループになんか誘わねぇよ!」
「そうそう!お前が金持ちの息子だから、ウザい家庭の愚痴り話も我慢して聞いてやったんじゃねぇか。結局、ろくに金も持ってこねぇし、マジで時間を無駄にしたわ」
金髪の男からも冷たい言葉をぶつけられた紅月は、膝から崩れ落ちた。