初恋のキミは最愛ヒーロー
「さっきから黙って聞いてれば、カネのことばかり。紅月がどんな想いで、アンタらが差し伸べた手を取って、グループに入ったと思ってんだよ」
「親に対する不満とか進路だとか、ネチネチと愚痴るためじゃねぇの?どうせ、そういうことを話せる仲間が学校に居なかったんだろ。金持ちの坊っちゃんは、周りから浮いてただろうし」
茶髪の男に同意するように金髪の男は頷く。
「生活に困らない毎日を送れるくせに、安定した将来が待ってるくせに、いつも愚痴るのは、くだらないことばかり。俺らに対する嫌味だろ、間違いなく」
心ない言葉に、手を強く握りしめる。
こんな奴ら、思いっきり殴り飛ばしてやりたい。
でも、暴力じゃ何も解決しない。
大きく息を吸い込んで、呼吸を調えた。
「紅月のこと、何も知らねぇんだな」
「あ?」
「アンタらが“くだらない”と吐き捨てた愚痴は、紅月にとって真剣な悩みだったんだ。聞いて欲しくて、助けて欲しくて、アンタらに縋ったんだよ」
鼻で笑う男たち。
俺は、苛立ちを含ませながら鋭く睨んだ。